小説のようなもの

カシスソーダ

「はい、お待たせしました、梅原不動産でございます。」 「高橋君この書類を20部コピー頼みたいんだけど」 「綾瀬君、この書類だけどページ番号が違うから直しておくように」 電話のコール音や会話が絶え間ないオフィスで、一人の男がディスプレイとにらめっ…

雑記、とある猫の昼下がり

目を開くと、青空が広がっている。少し下を向くと、風が草花を揺らしているのが見えた。 「ああ、いつの間にか眠っていたのか」 そう呟くかのように”それ”はひとつ、長い欠伸をした。 全身は黒い体毛に覆われているが額には星のような白い模様、六本の長い髭…